ソライロ・サプリ

★☆てっぺんのその先の景色へ☆★

11/14

録画していた「霧深きエルベのほとり」を久しぶりに見た。ディスクにダビングはしたけれど、どうしても消せないでいる好きな作品。

公演ごとにどの役も紅さんの当たり役だなって思ってたけど、エルベのカール・シュナイダーは本当に紅さんにぴったりでした。照れ屋で恥ずかしがりやで、それを隠す為にワザと明るくお調子者に振る舞って、繊細で優しくて。そんなカールは紅さんの為に書かれた作品なんじゃないかと思うほどにピッタリでした。56年ぶりの再演?嘘でしょ?

惚れた女の幸せを願って身を引いて、王道というかベタな感じの水夫とお嬢様の身分差の恋なんだけど、「はいはい、よくある話よね」で片づけられないのは紅さんが演じているからなんだろうね。酒場で出会った家出娘のマルギット(お嬢様/ヒロイン)と出会い恋をして、でも自分ではマルギットを幸せに出来ないからと身を引くためにお嬢さんの親から手切れ金を貰って悪ぶって、でも屋敷を出た後に「幸せになれよ、マルギット」と泣く。昔別れた女(アンゼリカ)と再会し大金持ちと結婚したアンゼリカを想って「幸せになれよ、アンゼリカ」と泣く。出航前夜、港の酒場で「女をだまして大金手に入れたから俺のおごりだ」って悪ぶるくせに、そのお金には手をつけずに「いつか丘の上のお屋敷のお嬢さんにこの金を返してくれ」とこっそりと酒場の女に頼んで、そしてまた一人船に乗って行ってしまう。マルギットがカールは自分を本当に愛してくれていたと気づいた時にはもうカールは海の上。きっともう会う事はないんだろうね。夜カールを探しに港に行ったマルギットの声が少しでも聞こえていたらいいなって思ってたけど聞こえてないんだって、聞こえてたら海に出れなくなっちゃうからって。こんな優しい人は幸せになれないよ、切なそうな顔も背中も紅さんにぴったりだったな。紅さんで再演をって言ってくれた先生にも感謝。

泣くの分かってて見てしまうからよくない。平日の夜に見るもんじゃない(笑)明日。目ぱんぱんになるわ。