ソライロ・サプリ

★☆てっぺんのその先の景色へ☆★

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宝塚宙組公演『プロミセス、プロミセス』あらすじ

 

Act1

S1エレベーター近くの一般オフィス(総合生命保険会社の経理部)

・目覚まし時計が鳴り響く朝。平社員のチャックは急いで起きて身支度を済ませ仕事に向かう。満員電車に揺られエレベーターに滑り込みオフィスに到着。同僚たちが17:30の定時に退社するのに対して出世欲のあるチャックは残業をする。毎日必ず17:40に退社する人事部長のJ・D・シェルドレイクに自分がいかに仕事熱心かをアピールする為である。退社するシェルドレイクに挨拶するもスルーされ、また気になっている食堂勤務のフラン・クーベリックにも名前を覚えてもらえないほど人に気づいてもらえないほど影の薄いチャック。

 

S2バー「グレース・オブ・ロス」

・退勤後、友人の働くバーに行くチャック。そこで重役ローン融資部門の重役エッド・ドービッチに偶然会う。ドービッチは連れの女性が具合が悪くなったのでチャックの部屋で少し休ませて欲しいと頼む。お礼に人事に君の事を推薦しておくからと言われ、出世欲のあるチャックは鍵を貸す事にした。しかしこの後女性は毎週決まって体調を崩しその度にドービッチに部屋の鍵を貸す羽目になってしまうのだった。この部屋の噂を聞き付けた他の重役たちにも、彼らが愛人との密会するの為に部屋の鍵を貸す事になってしまった。

 

S3ブラウンストーン・アパートメント

・チャックがアパートメントに戻ると部屋は酷い有り様。ゴミを片付けていると隣人の医者ドクター・ドレファスと会う。チャックが友人や女を連れ込み夜中に大騒ぎをしていると勘違いしているドレファスはチャックに睡眠薬を渡しゆっくりと寝るように言う。

チャックが部屋に戻ると玄関のチャイムが鳴る。出るとそこにはクレーム調査部の部長ジェシー・ヴァンダーホフが立っていた。ヴァンダーホフも他の重役たちに聞きこの部屋の存在を知ったのだ。「ほんの45分か1時間でいいから部屋を貸してくれ、君の事は人事に伝える」同じ事を他の重役たちにも言われているがこの三週間一向に出世しないチャックは返事を渋る。が、「プロミセス、プロミセスだ」と言われ仕方なしに部屋を貸す事にした。

 

S4オフィス/社内診療所の待合室

・ヴァンダーホフが返すアパートメントの鍵を間違えた為、昨晩アパートメントに戻れなかったチャックは風邪をひいてしまい社内診療所にいた。待合室でフランに会うと彼女はしゃっくりが止まらないのだという。「ストレスで止まらない事もあるらしいよ」と心配するチャック。二人が話しているとナースが「人事部長がお呼びですよ」と伝えにくる。待ちに待った人事部長の呼び出しに診察も受けずに急いで人事部に向かうチャック。

 

S5シェルドレイクのオフィス/一般オフィス

・シェルドレイク人事部長は自分はこの社内の事は何でも知っている、重役たち4人が揃って君の事を推薦してきた理由はなんだとチャックを問い詰める。愛人との密会を口止めされているチャックは口ごもるがシェルドレイクにはお見通しだ。重役たちの間でとある鍵が回っている事、そして君は野心があり機転が利き協力的だという事、更にはここにNBAのチケットが2枚ある、これと君の持っている物を交換してほしいと言うのだ。チャックは自分の持っている物で人事部長が欲しがるものなんて無いと悩むが、すぐに部屋の鍵の事だと気付き鍵を差し出す。愛人との密会の秘密がバレると困るシェルドレイクは今後鍵を貸すのは自分一人にしろとキツく言いつける。

 

S6一般オフィス

・オフィスに花束を抱えた花屋がやってくる。花束の届け先はフラン。同僚の女の子たちはいつから付き合ってるの?どんな人なの?と興味津々。「私は結構本気なの、彼はそうでもないみたいだけど」とフラン。

オフィスに戻ってきたチャックはフランをNBAに誘う。先約があるからと一旦断るフランだが「ちょっと飲みに行くだけだから9時なら」とバスケに行く約束をする。やっとデートの約束が出来たチャックは僕も彼女もバスケが好きなんて運命かもしれないと浮かれる。

 

S7中華料理店「ラム・ディン」/マディソン・スクエア・ガーデンの外

・中華料理店ではシェルドレイクが新聞を読んで誰かを待っている。そこにやって来たのはフラン。「妻とは別れる、今朝弁護士に連絡した」というシェルドレイク。「私別に離婚して欲しいなんて言ってないわ」と素直になれないフラン。約束があるからとすぐに帰るつもりでいたが約束の時間はとっくに過ぎて時計はもう11時を差していた。

その頃、ポップコーンやジュース、応援グッズを抱えたチャックはマディソン・スクエア・ガーデンの外でフランが来るのを今か今かと待っている。まさか僕の風邪がうつっちゃったのかな?と心配していると試合が終わってしまった。試合結果を聞き「大したゲームじゃなかったみたいだな」と強がるチャック。

 

S8役員専用レストラン

シェルドレイクのせいでチャックから部屋の鍵を借りれなくなった重役のヴァンダーホフたちはどこかに逢い引きするのに手頃な部屋はないかと探している。

シェルドレイクの口利きで出世をしたチャックは役員専用レストランで食事をしている。そのチャックを見付けると人事に推薦してやったのに感謝が足りない、鍵を貸してくれと重役たちは詰め寄る。

 

S9シェルドレイクのオフィス

・重役たちから逃げだしたチャックはシェルドレイクのオフィスに向かう。「昨日の同行者様のお忘れ物です」と女性用のコンパクトをシェルドレイクに渡す。「コンパクトの鏡が割れていましたが何かありましたか?」と尋ねるが大丈夫だとあしらわれる。

 

S10エレベーターホール

エレベーターホールではシェルドレイクの秘書のミス・オルスンがお酒をのんで酔っぱらっている。社内のクリスマスパーティーの為にやって来たフランに「あなたが新しいカンザス支店長でしょ?」と話し掛けるミス・オルスン。「意味がわからないわ」とその場を離れようとするフランだがミス・オルスンは「私も4年前まではミネアポリス支店長だったの。彼と付き合うまではお酒も飲まなかったのにこの有り様よ。酒とタバコを覚えて5キロ太ってミネアポリス支店長を卒業ってわけ」「恒例の妻と離婚するっていう演説はもう聞いた?あなたにいい事を教えてあげるわ。彼があなたにプレゼントしたコンパクト、あれを買ったのは私よ。あんなの早く売っぱらってランニングシューズでも買ってあの男から逃げなさい」とアドバイスするミス・オルスン。泣きそうになりながらその場から離れるフラン。

 

S11クリスマス・パーティー

会場では社員みんなお酒も入って楽しくパーティーが行われている。しょんぼりしているフランを見つけたチャックは声をかける。「元気がないね」「人が多くて」と誤魔化すフラン。「そうだ、君に見て欲しい物があるんだ」と袋からニット帽を出して被ってみせる。「これ似合ってるかな?」「似合ってるわ」「本当に?」「じゃあ自分で見てみたら?」フランに差し出されたコンパクトの鏡は割れていた…。

 

Act2

S1怪しげな八番街のバー

・ニット帽を被ったチャックはバーカウンターに座っている。大好きなフランはシェルドレイク部長と不倫をしていて、おまけにその逢い引きの為の部屋を提供しているのは自分だ。落ち込むチャックの背中に声をかける女性がいた。「クリスマスなのに一人なの?偶然ね、私も一人なの」声の主はマージ・マクドゥーガル。お酒も入って意気投合した二人はバーを出てチャックのアパートメントへ向かう。

 

S2ブラウン・ストーン・アパートメント/シェルドレイクの自宅

アパートメントでは帰り支度をするシェルドレイクとソファーに座って泣くフランがいた。シェルドレイクはクリスマスイブだから帰って子供たちとツリーの飾り付けをしなくてはいけないというのだ。せっかくのクリスマスなのにプレゼントのひとつも用意していないシェルドレイク。電車の時間が迫り一緒にアパートメントを出るように促すが「こんな顔じゃ帰れないわ」と後から帰るというフラン。シェルドレイクが部屋を出たあと帰り支度を始めるフランだがベッドサイドに置かれた睡眠薬を見つけ衝動的に瓶の中身を全部飲み干す。

チャックとマージがアパートメントに戻ってきた。ご機嫌な二人はクリスマスの夜を楽しむ気でいた。が、チャックがベッドルームを覗くとそこにはベッドに横たわるフランの姿が。フランの傍らに落ちていた睡眠薬の空の瓶を見つけ全てを察したチャックは急いで隣人のドクター・ドレファスを呼びに行く。レストルームから戻ったマージは何の事かわからないまま「とにかく今日は帰って、続きはまた来年」とチャックに部屋を追い出される。

ドクターの処置で一命を取り留めたフラン。チャックはシェルドレイクの家に電話をかけ「彼女が目覚めた時に隣にいてあげて下さい」とお願いするのだった。しかし家庭があるシェルドレイクはクリスマスの朝にフランの元に駆けつける事は出来ない。それを察したチャックは黙って電話を切るのだった。

目覚めたフランに笑顔になるように励ますチャックとドクター。チャックの優しさに徐々に笑顔を取り戻すフラン。

玄関のチャイムがなる。部屋を借りに来たドービッチ部長だ。部屋を貸すのを断るチャックだが、予約してたはずだと無理矢理部屋に入ってくるドービッチ。ドービッチはフランがガウンでチャックの部屋にいる事を見てしまった。そして愛人のシルヴィアと一緒に部屋を追い出される。

再びチャイムが鳴る。今度は強面の男がやってきた。フランの兄のカール・クーベリックだ。クリスマスに帰って来ないフランを心配して会社に行ったら、チャックの部屋にフランがいると聞き車で乗り付けたのだった。妹が睡眠薬を過剰摂取して自殺未遂したと知ったカールはその原因がチャックにフラれた事だと勘違いしてぶん殴る。怒ってフランを連れて帰るカール。

 

S3シェルドレイクのオフィス

書類制作中のミス・オルスンは出来上がったばかりの書類にシェルドレイクのサインをもらっている。「今日はまだフランが出社していないようです」「なんの話だ、彼女の出社は自分には関係ない」ミス・オルスンは退職する事を伝え、その同意書に今あなたがサインしたのだと言う。「私があなたと別れた時に何に助けられたかわかる?仕事とお金よ。でもみんなが私みたいに強いわけじゃない。あの子に私と同じ事をしたら大変な事になるわよ」「私が退職したら困る?奧さんにバラされるかもしれないから?せいぜい覚悟しておきなさい」とミス・オルスンは部屋を出ていく。

 

S4中華料理店「ラム・ディン」

シェルドレイクから中華料理店に呼び出されたチャック。クリスマスのフランの騒動のお詫びだろう、それならフランを自分が引き取る事にしようと考えている。しかし実際はそうは上手く行かない。ミス・オルスンが奥さんに電話した事によりシェルドレイクは離婚したのだ。「12年続いた結婚生活も元秘書の電話一本で終わってしまうのだな」とシェルドレイク。更に「フランにプロポーズしようと思っている」と続けた。「結婚には細々と決めなくてはいけない事が山ほどある、その為に僕の部屋を貸してほしいという事ですね」「そうだ」チャックは出世の為にゴマをすり部屋を貸すそんな自分に嫌気がさしていた。「もう二度と鍵は貸しません」

 

S5ブラウンストーン・アパートメント

アパートメントに戻り引っ越しの為の荷物を纏めているチャック。そこに忘年会の誘いにドクターがやってきた。荷物を見てチャックが引っ越すのを悲しむドクター。最後に乾杯しましょうと二人はシャンパンを開ける。

ドアの外にいたフランはシャンパンを開ける大きな音に驚き部屋に飛び込んでくる。「あなたが私に連絡をしないで何かをしてしまうんじゃないかと思ってたの」「銃で自殺とか?」「そうじゃなくて何も言わずに引っ越してしまったりとか」自分の事を一途に想ってくれて優しく見守ってくれていたチャックの愛に気づいたフラン。二人のやり取りを見守っていたドクターはそっと自分の家に戻り、チャックとフランはニューイヤーイブをトランプをしながら穏やかに過ごすのだった。