ソライロ・サプリ

★☆てっぺんのその先の景色へ☆★

7/8

カルト・ワインあらすじ

 

 

第一幕

第1場A オークション(逮捕)

プロローグのダンス~シエロが上段から登場。一旦捌けたメンバーが椅子とパドルを持って再登場しオークションが始まる。この日のオークションの目玉であるカミロ・ブランコが出品したワインを紹介するタイミングでFBI捜査官のトミー・ケスラが乗り込んでくる。

 

第1場B 逮捕~報道~法廷

逮捕されたカミロ・ブランコは実は偽名だった。メキシコ出身の投資家でワインコレクターというのも嘘で出品したワインも偽造品、本名をシエロ・アスールといい南米ホンジュラス出身の貧しい青年だった。何故彼は身分を偽って偽造ワインを作ったのか、法廷で裁判が行われる。

 

第2場 ホンジュラスクラブ

ホンジュラスのクラブに集う若者たちはドラッグや酒に酔い♪ここはホンジュラス、世界で一番天国に近い国~と歌う。クラブで働くフリオの元にシエロがやってくる。フリオは実家の食堂の税金が払えずにいる。「ここのバイト代が入るまで待ってくれ」とフリオは言うが「もう庇いきれない」とシエロ。フリオにマラス(ギャング)に入れば税金が免除されるから入れと誘う。マラスの抗争の流れ弾に当たって母親を亡くしたフリオは絶対にマラスには入らないとキッパリ断る。

 

第3場 アジト~食堂

シエロがマラスのアジトで仲間たちと仕分けの仕事をしているとボスが戻ってきて銃を配る。「お前たちの銃だ、もう下っ端は卒業だ。最初の仕事として明日までに敵を一人殺ってこい」と命令される。「税金が滞っている食堂があるな、お前がそこの親父を殺ってこい」と言われ戸惑うシエロ。

 

食堂にはフリオ、フリオの父のディエゴ、心臓に病気を持つ妹のモニカがいる。いつもと様子の違うシエロに食事を勧めたり悩みがあるなら聞こうとしたりと、家族のいないフリオを自分の子の様に接するディエゴ。そんなディエゴに銃口を向けるシエロ。「税金を払わないお前らが悪いんだ、お前らを殺さないと俺が殺される、そのあとお前たちだって…」辛い気持ちを吐き出すシエロに「逃げよう、アメリカに行こう」と言うフリオ。4人はアメリカに逃げる事にした。

 

第4場 旅路

旅路は辛く険しい。シエロは途中荒波にさらわれる男性を助けたがその時にマラスの証である刺青を見られてしまう。一緒に旅をしていた人たちはマラスの刺青に震えるが、モニカたちが頼みこんでみんなで一緒に旅を続けさせてもらう事になる。ラ・ベスティア(野獣)と呼ばれる列車の屋根に乗り込む一同。灼熱の太陽と強風・豪雨にさらされ列車は進む。夜中に目が覚めたシエロに、自分の首に下げていた十字架を渡すディエゴ「きっと神様が守って下さる」。途中列車強盗が現れモニカが襲われそうになる。モニカを助ける為に銃で強盗を撃つディエゴだったが、他の強盗に撃たれてしまう。ディエゴは「お前たちはまだ若い、生きなさい」と告げ息を引き取る。泣き崩れるフリオたちを乗せた列車はついにアメリカに到着した。

 

第5場 アメリカの雑踏~カリフォルニア・ハートス通り

カリフォルニアのハートス通りではカリフォルニア州知事が演説をしている。不法移民のシエロとフリオは正規の仕事登録が出来ないので街角に立って日雇いの仕事を探すしかない。一日待っても仕事が全く見つからない。そこに高級そうなスーツを着た紳士が現れた。紳士は無造作に鞄を横に置きタバコを吸っている。その鞄を盗む事を思いついたシエロ。鞄を盗み逃げようとした所、紳士の子分に見つかり暴行される。

鞄の持ち主はペットショップやブリーダー育成、ペットの餌などの会社を経営する元マラスのチャポ・エルナンデスだった。チャポはシエロの刺青を見て「お前元マラスだろ、ほらお揃いだ」と自分の胸元の刺青を見せる。マラスに見つかり殺されると思ったシエロは慌てるが「もう(マラスは)抜けてるよ。で、お前はどうしてここに逃げてきた?」と尋ねられる。フリオの親父を殺せと命令された事、出来なくて逃げた事、でも途中で強盗に襲われて結局親父さんは死んだ事を話す。話を聞いたチャポは自分の連絡先を書いた紙をフリオに渡し「食うに困ったらここに連絡しろ、仕事を紹介してやる」と言って去って行く。

フリオの手から連絡先の紙を奪い破って捨てるシエロ「あいつがカタギに見えたか?マラスの世話にはならない、一度汚した手は元には戻らないんだ」「この手もか?」自分の腕の刺青を見せるシエロ。「お前は違う…」とポツリと呟くフリオ。

 

ふたりが困り果てていると豆の缶が転がってきた。明日から始まるメキシカンフードフェスティバルの準備に追われている屋台の親父が落とした缶だった。「(缶を拾ってくれて)ありがとう、よかったら明日うちの屋台においで、おじさんのナチョスは絶品だぞ。おまけしてあげるよ」とおじさん。「これ運んだらおごっててくれますか?」「なんだ仕事を探してるのか?」「はい!」「丁度日雇いのバイトを探してたんだ、付いてきなさい」フリオが見ていない隙にチャポの連絡先の紙を拾ってポケットに仕舞いこむフリオ。二人はおじさんに付いて行く。

 

第6場 メキシカンフードフェスティバル

ナチョス屋台で店番をするシエロとフリオ。屋台には様々な客が来る。ワインの買い付けに来た女性も訪れた。ナチョス屋台の親父に自身も移民で今はひとつ星レストランを経営しているカルロスを紹介される二人。そこに酔っ払いがやってきてカルロスの娘にぶつかりいちゃもんを付け始めた。場は騒然とするが、機転を利かせたシエロがその場を収める。お礼にレストランで食事でもとカルロスに言われるが、仕事を探している二人は「何でもするので雇って下さい」と頭を下げる。カルロスは皿洗いぐらいならと二人を雇う事にする。

 

第7場 カルロスのレストラン~チャポの事務所~病院~抽象

カルロスのレストランで働き始めて約三か月。ワインセラーにレストランのお嬢さんでソムリエのアマンダとシエロが二人っきりで入って行ったのを知ったフリオは気が気でなくこっそり覗きに行く。ワインセラーで二人はワインテイスティングを行っていた。味覚がとても優れているシエロはまだ初めて三か月だというのに銘柄をズバリ当てる。

アマンダはシエロにクリスマスプレゼントにワインを手渡す。そのワインは入荷時は50ドルだったがとても人気で今はその何十倍もの価格になっている事を知ったシエロはそのワインを売る事を思いつく。

 

二人がワインを持って行った先はチャポの所だった。二人が持って来たワインはカルトワインと呼ばれる人気のワインたった。チャポは2000ドルの入った封筒を手渡し「またお嬢さんに貢いでもらったら持って来い」と言う。

 

モニカの心臓の検査結果があまり思わしくない。手術が必要だが不法移民の彼らは保険もきかず全額負担で6万ドルぐらいかかるという。それを聞いたシエロは「30本ぶんだな」と偽造ワインを作る事を思いつく。

 

第8場 ワイン錬金術

二人はレストランのセラーからカルトワインを1本盗み味見をする。味を覚えたシエロはスーパーで買える安ワインを混ぜ更にスパイスを加え本物そっくりのワインを作った。

 

第9場 チャポの事務所~新しい人生

チャポの事務所に30本の偽造ワインを持ち込む二人。しかしチャポはひとめ見てそれが偽造ワインだと気づく。「俺を騙そうとはいい度胸だ」と子分にボコボコにされる二人。チャポは二人が持ち込んだ偽造ワインは見た目もしっかりしているのでリコルクしてそこら辺の店にでも下ろすかと考え、栓を開けて一口飲む。「ん?」もう一口。「この中身はどうした?」「作ったんだ」「お前ら二人でか?」「こいつは手伝っただけだ」「ふーん、俺の所に来てもっとしっかりした模倣品を作らないか?」「6万ドル貸してくれるなら」シエロの目をじっと睨みつけ本気かどうかを見極めているようなチャポ。視線をそらさず睨み返すシエロ。チャポの元で偽造ワインを作ろうとしているシエロをフリオは止めるが「足手まといなんだ」と言い放つ。6万ドルの小切手をシエロに手渡し「しっかり働けよ」とチャポ。シエロはその小切手をフリオに手渡す。フリオは「お前は勝手だ」と小切手を受け取り走り去る。神様がくれた優れた味覚という自分だけの才能で自分の価値を見つけ出したいと歌うシエロ。

 

第二幕

第1場 オークション(ブラインドテイスティング

オークション会場は今日も賑わっている。いつもの会場では見かけた事のないいいスーツを着た青年が次々とワインを落札していく。あの青年は誰だ?と話題になっている中、会場の催し物としてブラインドテイストが行われる事になった。5種類すべてのワインの銘柄を当てたら1945年のヴィンテージワインをプレゼントするというのだ。ブラインドテイストの参加者の中にあの青年がいた。青年は見事全てのワインの銘柄を当て景品の高級ヴィンテージワインを手に入れる。その青年の名はカミロ・ブランコ、かつてのシエロ・アスールだった。

カミロはグランピーガイズのリーダーであるミシェル・ウェイバーにグランピーガイズのワイン会に誘われる。

 

第2場 高級レストラン(グランピー・ガイズ)

高級レストランにいる紳士たちはワインの話で盛り上がっている。グランピーガイズはそれぞれが自慢のワインを持ち寄って飲み合う会だ。当り年のワイン、ヴィンテージワイン、メンバーをグランピー(不機嫌)にさせるワイン、様々なワインを飲み比べるメンバーたち。ついにカミロの番が回ってきた。カミロが出したワインは先日のオークションのブラインドテイストの景品でもらった1945年のロマネ・コンティだ。驚く一同。超高級ワインの登場にどうせどこかのボンボンだろとカミロのグランピーガイズ入会を渋っていたメンバーも機嫌をよくして拍手喝采でカミロを迎え入れる。

 

第3場 車の中

カミロは一足先にワイン会を後にして迎えに来たロールスロイスの中にいる。「みんな面白いように騙されるよな。45年のロマネコンティなんて誰も飲んだ事ないんだからバレっこない」とご機嫌のカミロ。運転手はチャポの付き人のミゲルだ。「ボスがお前に金を使ったのはお前をドッグショーで優勝させる為なんだからな、調子に乗るなよ」

 

第4場 オークション(出品依頼)~過去回想

オークション会場にはチャポの姿が。カミロにそっと近づき「あの女だ」とオークションを取り仕切るゴールデンハンマー社のミラ・ブランシェットを教える。ミラに自分のコレクションを出品したいと持ち掛けろというのだ。しかしカミロは「自分から言うんじゃなくて引き出すんですよ、まあ見ててください」とチャポに言う。

予想通りミラはカミロに「先日のオークションは素晴らしかったわ」と声を掛けて来た。「あなたのコレクションを出品してみませんか?」思い通りの言葉を引き出せてしてやったり顔のカミロ。

 

ここでチャポの回想になる。10年前、偽造ワインを作り始めた頃はチャポの名前でワインを売っていた。ワインは「何を売るか」ではなく「誰が売るか」で価値が変わってくるのだ。コレクターとして名を馳せているチャポの名前を出せば偽造ワインを売りさばくのは実に簡単な仕事だった。しかしいつまでもチャポの名前で売るのはリスクが高い。そこでシエロに1着のスーツを仕立ててやり、名前も変更させた。完璧な純白という意味の「カミロ・ブランコ」これがシエロの新しい名前だ。シエロを本物の紳士に育てあげシエロの名前で偽造ワインを売り捌こうと考えるチャポ。「俺を矢面に立たせるのか?」と口を尖らすシエロだが「お前は神に与えられたギフトを使ってみたいと思わないのか?これは俺が与えるギフトだ。チャンスという名のギフトだ。シエロ、いやカミロ、覚悟を決めろ」チャポのその言葉に覚悟を決めるカミロ。

 

第5場 カルロスのレストラン

「そろそろ覚悟を決めたか?」カルロスのレストランではカルロスとフリオが話している。新しい店の出店にあたりフリオを新店の店長にしようというのだ。フリオはアマンダにプロポーズして返事待ちの状態。カルロスにワインの下見会の為にニューヨークに行っているアマンダに付き添ってやりなさいと言われフリオはニューヨークへ向かう。

 

第6場 下見会~屋外

ワインの下見会では試飲の他に翌日のオークションに出品されるボトルやコルクの状態、液面の状態を見れる。それらを確認しどのワインに入札するかを考えるのだ。ワインを試飲しているアマンダの所に一人の男性が近づいてきて「あちらに女性好みのアイスワインがありますよ、レクチャーしてあげましょう」とアマンダの腰に手を回し強引に連れて行こうとする。その場に居合わせたカミロはアマンダを助ける。直ぐにシエロだと気づいたアマンダだが、シエロではなくカミロと呼ばれているその男性に「ごめんなさい人違いでした」とその場を離れる。遅れて下見会に来たフリオに「シエロに似た人がいたの」と話すアマンダ。フリオは複雑そうな顔をする。

 

荷物を置きに行ったフリオはシエロにばったり会う。「外で話そう」と会場の外に二人で出る。「モニカの手術はどうなった?」「成功したよ」「よかった~それだけが気がかりだったんだ」「…まだあんな事やってるのか?」「あんな事?」「偽造ワインだよ」「まぁね~」「もうやめろよ。もうすぐ店を出すんだ、うちに来いよ」「それはおめでとう、でも今更俺に皿洗いでもやれってか?」「こんな事いつまでも続かない」「お前が黙っててくれればもう暫く芝居は続く。幕は自分で下ろすさ」

 

第7場 オークション(錬金)

オークション会場ではカミロのコレクションが高額で落札されている。有名コレクターとして地位を築いたカミロ・ブランコの出品したワインは今やカルト的な人気なのだ。

 

カミロとアマンダが会場で偶然会う。カミロがシエロだと確信しているアマンダは「私があなたを見間違えるわけない」と言う。キスをして黙らせるカミロ。その二人のやり取りを遠くから見てしまうフリオ。カミロ「積もる話を立ち話で終わらせるのは勿体ない、またゆっくり話そう」

 

第8場A ザックの豪邸

ザック邸ではザックが競り落としたカミロ・ブランコのコレクションのワインを飲んでいる。息子のザックJr.が友人のマシューとやってきた。ザックJr.「まずいワインを有り難がって飲めって事ですか?そのワインが偽物だとしても?」今回20ケースのワインをザックが法外の値段で競り落としたが同じ年のワインをマシューが既に10ケース持っており、それを足すと市場に出回る数のほとんどを占める。偽物ではないかと疑うザックJr.はゴールデンハンマー社のオークション担当ミラを呼ぶ。

 

第8場B ミラ訪問

話を聞いたミラは「お話はわかりました。でも市場に出回っている数を上回ってはいませんよね?うちの商品は全て本物です。規約により補償も致しかねます」

 

第8場C ミラの自宅

ミラに呼び出されたカミロ。部屋にはカウチに腰かけワインを飲むミラがいる。ミラに手渡されたワインを飲んだカミロは「子羊のローストとかが合いそうですね」「そうね、それか味の濃いメキシコ料理とか…作って頂戴よ。あなたナチョス作るの得意でしょ?」「…」「10年ぐらい前かしらワインの買い付けにカリフォルニアに行った時にメキシカンフードフェスティバルに立ち寄った事があったの。やっと思い出したわ、そこにいた貧しそうな青年」驚いて立ち尽くすカミロ。「人って変われば変わるものね。黙っておく代わりにちょっとマージンを上げさせてもらうわ。そうね、売り上げの半分でどうかしら」

 

第8場D ホテルの一室

寄っぱらったフリオがホテルに戻るが部屋には誰もいない。アマンダはカミロとワインを飲んでいた。ホテルに戻ったアマンダは「打ち合わせをしていたの」と嘘をつく。嫉妬心に駆られたフリオは「あいつは名前も経歴もワインも全部偽物だ」とばらしてしまう。驚くアマンダ。「あのワインが偽物?よく熟成したブルゴーニュだったわ」「飲んだんだ…」「ワインを飲んだだけよ、本当よ」徐々に自制心を取り戻したフリオは絞り出すようにそして自分に言い聞かせるように「わかってる、君たちは何もなかった」と言うがアマンダは「何もなかった事には出来ないわ。もっと早くにあなたに言うべきだった」と部屋を出て行ってしまう。

 

第9場 電話

ミラに素性がバレてマージンの半分を寄越せと言われたとチャポに電話をするカミロ。「危険すぎる」と辞めたい事を伝えるが「芝居のし過ぎで立場って物を忘れたんじゃないのか?俺はお前をブドウ畑の肥料にだって出来るんだぞ。続行だ」と電話を切り「逃げないように見張っておけ」とミゲルに言い付けるチャポ。

 

部屋でディエゴにもらった十字架に何かを彫っているカミロ。

 

FBI捜査官のトミー・ケスラに電話をしてカミロの出品したワインが偽造ワインかどうかを調べて欲しいと依頼するザック。

 

第10場 屋外(捜査協力依頼)

グランピーガイズのリーダー、ミシェル・ウェイバーがFBI捜査官のトミーに詰め寄られている。持っているコレクションが本物かどうかを調べさせてほしいと頼まれているのだ。しかし自分のワインは本物だと言い張り、捜査には協力をしないミシェル。

 

FBI捜査官のトミーは「もし本物だった場合、栓を開けたら今後価値が上がったかもしれない財産を失った可能性がある。もし偽物だった場合、偽物を掴まされた愚かなコレクターという証明になってしまう。捜査に協力するって人はなかなかいないだろうね」と他の捜査官と話している。そこに若手捜査官が走ってくる「協力者が現れました」

 

第11場 オークション(逮捕)

オークション会場の前でカミロを待つフリオ。「お前何でこんな所に…丁度よかった、これ渡したかったんだ、俺にはもういらないからさ」とディエゴにもらった十字架をフリオに渡すカミロ。「オヤジはお前にあげたんだ」と返そうとするが「それなら預かっておいてくれよ、芝居がはねたら取りに行くからさ」

 

(冒頭と同じ場面)この日のオークションの目玉であるカミロ・ブランコが出品したワインを紹介するタイミングでFBI捜査官のトミーが乗り込んでくる。

 

第12場 法廷~面会室~オークション

法廷で黙秘を続けるシエロ。FBI捜査官トミーが「こんな大がかりな詐欺を一人では出来ない、仲間がいるはずだ。あなた一人で罪を被る必要はないんですよ?」相変わらず黙秘を続けるシエロ。法廷を覗く人の中にチャポの姿が。シエロが口を割らないと確信したのかニヤリと笑いそっと法廷を後にする。

 

「あなたは本来は優しい人のはずです。友人の妹の手術代の為にワインの偽装を始めたんでしょう?」その言葉を聞いてFBIにタレコミしたのがフリオだと気づいたカミロ。一瞬の間の後「偽造ワインのどこが悪いんです?みんなうまいうまいと飲んでいたじゃないか。俺のワインを競り落としたレストランは沢山取材を受け普通に宣伝するより安く宣伝出来ただろ」

 

懲役10年の判決が出たシエロは刑務所へ。面会に来たフリオ。

シエロ「よう、親友」

フリオ「何でチャポの名前を出さなかったんだ?」

シエロ「そんな事したら今頃わんこと一緒に殺処分さ。ここにいる方が安全なんだよ」

フリオ「ごめん」

シエロ「俺がチャポの名前を出せば司法取引で刑が軽くなると思ったんだろ?」

「それだけじゃない…」苦しそうなフリオ。

一瞬考えるがすぐにニヤっと笑い「わかってるよ」とシエロ。

シエロ「早く出れるようにイイコにしておくさ」

フリオ「ここを出たらどうするんだ?」

シエロ「そうだな、南の島でも行くかな」

フリオ「南の島?どうやって」

シエロ「神様が導いてくれるさ」

は!と気付いて首から下げたディエゴの十字架を取り出すフリオ。

シエロ「そこに彫ってあるのは稼いだ金の隠し場所だ、出所する時にそれを持って迎えに来てくれよ。そしたら仲直りだ」

一瞬顔を歪ませるがシエロの笑顔を見てつられて笑顔になるフリオ。

フリオ「持ってくよ、祝い酒と一緒に」

シエロ「ワインは勘弁してくれよ~」

お互いに目を合わせ笑う二人。

 

第13場 フィナーレ

沢田研二さんの「酒場でDABADA」を桜木さんが歌う。娘役が紫のタイトなドレスで出てきて周りで踊る。後半は男役も合流してダンス。

主題歌アレンジになりそのまま出演者挨拶へ。