ソライロ・サプリ

★☆てっぺんのその先の景色へ☆★

忘れな君、我らの恋。

この前、お友だちがムラに来てくれたので劇場周辺をふらっとしたんだけど、キャトルに行った時にトップスター監修グッズを見て「こういうグッズはトップさんだけなの?トップ娘役さんは?」と聞かれましてね、「トップ娘役さんはポストカードや舞台写真だけだよ」「しかも男役は若手でもポストカードが出るけど、娘役はトップ娘役しかポストカードは出ない」と言ったらとても驚いていましてね。そうなんですよね、トップスターとトップ以外ってしっかり区別されてるシビアな世界なんだよな、と改めて気づいたというかね。

 

先日、月組の千秋楽の中継を見ました。2番手の美弥さんの卒業との事でサヨナラショーです。異例のサヨナラショーと話題になりましたけども、まあ2番手で卒業される方はそう多くないですものね。でもトップさんとは違って千秋楽の1回(東京千秋楽と合わせて2回)のみ、サヨナラショーの時の吊り物もなし、楽屋出もパレードではなく通常出と同じく楽屋から、そして何より大階段を下りる時のすみれの花咲く頃の伴奏がピアノのみ…。

トップさんの退団時は東西4回のサヨナラショーを行い、電飾の付いた吊り物が飾られ、楽屋からではなくロビー側から出てパレードをし、大階段はフルオーケストラで降りて来る。緑の袴以外で大階段を下りてこれるのもトップスターだけ。

 

あぁ、なんてシビアな世界なんだろう。美弥さんほどの功労者でも通常と同じなのか。でも、出来る範囲で美弥さんの功績を労っていたように感じました。それは、大階段のすみれの花咲く頃の伴奏、ピアノだけだったけど前奏から流れたんです。涙が溢れ出た。美弥さん、美弥さん、卒業おめでとう。寂しくなるよ、忘れないよ。

 

普段とてもしっかりしている珠城さんが涙を流した時に、珠城さんの下級生の顔が見れて嬉しくもあったんです。しっかりしているように見えてもまだまだ若い。若い王は自分の置かれた立場をしっかりと受け止め真面目に誠実に。

「私が一番泣いてますね」と涙をグイッと男前にぬぐう珠城さん、その珠城さんを笑顔で見守る美弥さん。いい関係だったんだろうなとこの一瞬だけでもわかる。

「東京公演千秋楽まで学ばせて下さい」と、トップスターなのに謙虚に言う事が出来る珠城さん。

「卒業される4人にもう一度拍手をお願いします」と一歩下がっておっしゃった珠城さん。0番に立つのが自分の務め、それをちゃんとわかっている。だから一歩さがった、4人に敬意を表して。

割れんばかりの拍手にカーテン前に出て来てくれた珠城さん。「幕の後ろにみんなで作った舞台です」と言う珠城さん。

 

前トップスターの龍さんの東京千秋楽、「たまき」と呼ばれて出て来た珠城さんはべそべそ泣いていましたね。龍さんに「泣くな、しっかりしろ」と喝を入れられ、その時も涙をグイッと拭い、泣いてませんって感じで顔を横に振っていましたね。体は大きいのにべそべそしている姿があまりにも子どものようで可愛くて愛おしくて。

 

「トップスターは孤独だ」と誰だったかがおっしゃってましたね。

「トップスターは孤独ではない」とも他の誰かがおっしゃってました。

支えてくれる仲間がいてスタッフさんがいてファンの方がいる、確かに孤独ではないのかもしれない。でもやっぱり孤独なのかもしれない。

トップスターの為に演目が決められ、トップスターの為に脚本と衣装が作られる。フィナーレのパレードの最後にはトップスターの為だけに照明が落とされミラーボールが回る。ただ一人トップスターの為だけに。

一番大きな羽根を背負ったその重みはトップスターの重み。それを今回の千秋楽に強く強く感じました。珠城さんはその重みをしっかりと受け止め、0番に立っているのだなと。

 

泣き虫の珠城さん、もうステージの上で泣く事は無いのかなと思っていましたよ。泣き顔よりもやっぱり笑顔の方がいいものね。これからも沢山の笑顔が見れますように。